World Japaneses: Voices from Around the Globe

「日本社会におけるトランスランゲージングの促進」プロジェクトは2016年に発足し、その後(〜理解とリソース構築を目的としたウェブサイト)「セカイの日本語〜みんなの声〜」を立ち上げ、2022年までに様々な活動を行ってきました。
プロジェクトのウェブサイト Project’s Webpage
プロジェクトの目的 Project Overview
本プロジェクトの目的は日本語によるコミュニケーションについて、これまで当たり前に捉えられてきた母語話者(日本語を母語とする人)を中心とした一元的な言語観に疑問を投げかけ、多様な日本語を認める言語観を育成・促進することにあります。多様な日本語の話者には様々な地域、文化圏で日本語を学んだ日本語学習者も含まれます。これらの多言語話者である日本語使用者にとって、日本語は多様な言語活動の一環であり、彼らが総合的に持っている「言語」自体でもあります (García, 2009)。
こうした多言語話者の言語使用と言語観について理解を深めるためには、単に多言語化を意識することに留まらず、日本語によるコミュニケーションを社会一般においてより広義に認識することにつなげて行くことが必要です。また、こうした多言語話者を含めた日本語使用者それぞれが主体的に発信すること(活動としてのトランスランゲージング)を促進していくことは、言語・文化的な差異に対応できる寛容性を持った社会環境の構築に寄与できると考えています。
プロジェクトの成果 Project Outcomes
- 様々な日本語使用者の「声」を集めたアーカイブの構築
- 「声」をリソースとした学びの提案、及びリソース使用の方法を例として提案
- ワークショップやリソースの発信を通じて、様々な国や地域にいる人々と日本語のあり方を再考する繋がりを創出
- 今後こうした活動を続け、一人ひとりの言語観が社会や日本語教育にもたらす影響を捉えていく重要性の認識を確立
チーム Team
カナダ日本語教育振興会
米本和弘(東京学芸大学)
柴田智子(プリンストン大学)
川口真代(トロント大学)
津田麻美(コロンビア大学)
林寿子(カールトン大学)
ヨーロッパ日本語教師会
岩﨑典子(南山大学)
マルチェッラ・マリオッティ(ヴェネツィア・カフォスカリ大学)
豪州日本研究学会(2016-2017)
尾辻恵美(シドニー工科大学)
中根育子(メルボルン大学)
プロジェクトの活動 Record of Activities (2016〜2022)
2016年〜2017年
プロジェクトの理論的方向性として、World Japanesesやトランスランゲージングの考えを検討
- 米本和弘・柴田智子・津田麻美・林寿子(2017)「多様性を意識した日本語と話者に対する理解が目指すもの-World Japanesesの議論をもとに-」カナダ日本語教育振興会2017年年次大会,カルガリー
- 米本和弘・柴田智子・津田麻美・林寿子(2017)「多様性を意識した日本語と話者に対する理解が目指すもの-World Japanesesの議論をもとに-」『カナダ日本語教育振興会2017年年次大会プロシーディングス』305-311 [PDF]
2018年
ウェブサイト「セカイの日本語〜みんなの声〜」の立ち上げ
様々な日本語使用者とのインタビューを行い、リソースとして掲載開始
- 米本和弘・柴田智子(2018)「多様な日本語使用者の言語と経験に対する理解促進を目的としたウェブサイトの開発」(GNプロジェクト報告パネル),日本語教育国際研究大会,ベネチア
2019年〜2021年
ワークショップやリソースの発信
- カナダ3都市(オタワ,トロント,バンクーバー)、東京、ヨーロッパ日本語教師会(セルビア・ベオグラード)でワークショップの開催 (詳細はこちら)
- 大学での授業にリソースを使用した実践報告を掲載(詳細はこちら)
- GN加盟団体として「世界中の日本語教育関係者のためのオンライン交流会」に参加 [Website]
- CAJLEニュースレターにてエッセイの連載(全5回:2021年から2023年まで)(詳細はこちら)
- 米本和弘(2019)「日本語話者はどのような経験をし、何を語るか—日本語話者の多様性理解のためのリソース開発の試み—」日本外国語教育推進機構(JACTFL)第7回シンポジウム,東京 [PDF (Program)]
- 柴田智子・米本和弘(2019)「日本語と日本語話者の多様性とは何か—言語と話者の多様性に対する理解の育成—」第23回ヨーロッパ日本語教師会日本語教育シンポジウム
- 柴田智子・米本和弘(2019)「日本語と日本語話者の多様性とは何か—言語と話者の多様性に対する理解の育成—」『ヨーロッパ日本語教育』24,661-663 [PDF]
2022年〜2023年
ワークショップやリソースの発信
- 新ウェブサイトへの移行が完了
- 林寿子(2022)「セカイの日本語〜みんなの声〜:日本語使用者の多様な言語、文化、社会的経験から教員、保護者が学べる事」2022年カナダ日本語教育振興会(CAJLE) 年次大会プレ大会合同イベント・グローバルにつながるオンライン日本語教育シリーズ 第9弾 [実施報告]
- 米本和弘・川口真代・津田麻美・林寿子・柴田智子 (2022)「日本語使用者の語りに基づく多様な日本語に対する理解促進 ー 「セカイの日本語〜みんなの声〜」プロジェクトから」『Journal CAJLE』23, 17–41 [PDF]
- 林寿子・柴田智子(2023)「セカイの日本語〜みんなの声〜:日本語使用者の多様な言語、文化、社会的経験に対する理解と実践への応用」2023年カナダ日本語教育振興会(CAJLE) 年次大会 公開ワークショップ [実施報告]