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オンラインの研修会・ワークショップが増え、カナダ・世界のどこにいても参加できるチャンスが増えましたが、対面の会とは違い皆さんとお互いにお話する機会がなかなかありません。ニュースレターのこの欄で、「よくお名前を Zoom でお見掛けするあの方」「研修会でお話を伺ったあの先生」がどのような方なのかを会員の皆様にこの場でご紹介させていただければと思い、編集部がインタビューをさせていただく企画です。第3回の今回はバンクーバーからからベイリー先生、Japan Foundation, Torontoの斎藤典子さんをご紹介いたします。―編集部
1. お住いの所や勤務校についてご紹介をお願いします
皆さんご存知の通り、私の職場は国際交流基金トロント日本文化センターというところです。国際交流基金はそれぞれの事務所がある土地の皆さんに日本文化や日本のことばを紹介することを目的とした組織です。トロント日本文化センターでは展覧会や映画上映など文化的・芸術的なイベントや日本語教育の支援を行っています。トロント近郊の方々だけでなく、カナダ全土の皆さんに参加していただけるオンラインでのイベントも数多く行っています。
私の住んでいるトロントはアジア系の食材も買いやすいですし、おいしいレストランの種類も多く便利で、とても住みやすいところだと思っています。オンタリオ湖のビーチエリアは眺めもいいですし、お散歩するととても気持ちがいい場所も多いので、皆さんにもぜひ訪問していただきたいです。
2. 日本語教育に携わるようになったきっかけは何ですか
大学では教員になるための勉強をしていたんですが、教員になるなら英語の勉強したほうがいいというアドバイスもあり、それなら少し人生寄り道をしてもいいのではないかと思って、英語の勉強のためにカナダの親戚を訪ねました。そこで成人向けに高校の単位が取れる学校に通ううちに、日本語学校でお子さんを教える機会をいただいたのが、日本語教育に携わった第一歩だと思います。それからしばらくして、ご縁があって国際交流基金で雇ってもらうことになりました。最初は文化芸術関係担当だったんですが、日本語教育関係の仕事もだんだん回ってくるようになり、いつの間にか日本語教育担当としてはここでいちばん長い職員になっていました。
3年前に大きな組織の変更があり、その時日本語のクラスを担当するお話をいただきました。元々教員免許を取るために勉強していたのもありますし、日本語の先生方へのご支援を通して、教えることにはすごく興味があったので、すごくいい機会をいただいたと思っています。今は中級のクラスを担当しています。教えることはとても楽しいのですが、ある程度日本語が話せるようになったこのレベルの生徒さんたちがそれぞれの学習目標を達成するために、どのような手助けをしてあげられるのかが課題で、毎日試行錯誤しています。小さいクラスなので、それぞれの生徒さんと何が上達したいのか話し合って、そのためにはどうしたらいいんだろうと一緒に考え、そしてその目標が達成できた時、自分がその学生に何かを手渡すことができたなと思えたときの嬉しさは何物にも替え難いですね。
3. 今取り組んでいらっしゃるプロジェクトについて教えてください
国際交流基金では、パンデミックをきっかけにオンラインで始めた先生方のための日本語教育関係のイベントや日本語のコースはこれからもオンラインで続ける予定です。
一方で、これまで行ってきたオンラインの日本語教育支援が、コロナ禍から対面に戻った今のニーズと合っているかといえば、それは一旦見直すべき時なのではとも感じています。先生方のお仕事の内容や時間の使い方も変わってきているでしょうし、お忙しい中でも魅力的に感じていただけるご支援の仕方を模索中です。次に国際交流基金から派遣される専門家の強みを活かしながら、今の日本語教育のニーズに合ったご支援を通じて、カナダのさまざまな土地で教えていらっしゃる先生方をお繋ぎするお手伝いをしていきたいと思っています。このニュースレターを読んでいらっしゃる先生方にも、私たち国際交流基金が皆さんのために何ができるのか、どのような形でお役に立てるのか、ぜひお伺いしたいです。
4. お休みの日には何をしていらっしゃいますか
社交ダンスの練習をしています。大学生の頃からやっていたんですが、本格的にレッスンを始めたのは6年前ぐらいです。いつか大会に出られるよう、少なくとも毎日ダンスシューズを履くことを目標にして、1日1時間ぐらい練習しています。
5. 今しているお仕事でなければ、何をしていらっしゃると思いますか
将来のことを何も心配しなくていいなら、ダンサーはいいですよね。思った通り体を動かせた時は、とても気持ちがいいし、何より楽しいですから。ただ、自分の性格上、安定した職業でないと不安になると思うので、それなら業務が1日で完結するストレスのない仕事がいいですね。家に帰っても明日の仕事のことを考えなくていい仕事には憧れます。
ベイリー氏江 智子 先生
JALTA 会長 http://www.jalta.ca/index.htm
バンクーバー補習授業校 https://vjschool.net/
Japan Foundation, Toronto https://tr.jpf.go.jp/
1. お住いの所や勤務校についてご紹介をお願いします
現在、BC州バンクーバーでJALTA(日本語教育振興会)の会長を務める一方、国際交流基金のオンライン日本語コースを1クラスとバンクーバー補習授業校の中学1,2,3年生の国語を担当しています。補習校はBC州の公立の高校を借りて日本の学習指導要綱にのっとった授業がおこなわれています。創立された50年前は駐在員の子女が帰国後に勉強の遅れがないようにという目的がありましたが、現在は帰国を前提としない現地のお子さんの日本語教育も行われ、対象となる生徒が少し変化してきました。補習校には今年から勤務しているのですが、カリキュラムや授業参観や保護者懇談会など、日本の学校制度や慣習にのっとった形で学校運営が行われていることに日本らしさを実感しています。
2.日本語教師になったきっかけは何ですか
もともとは日本で銀行に勤めていたのですが、仕事内容にやや虚しさを感じるようになり、何か違うことがしたくなりました。そこで日本語教員の研修を受けてそこから米国ミシガン州の高校にティーチングアシスタントとして派遣されたのが日本語教員となったきっかけです。その後カナダに来てから日本語学校で教鞭をとるようになり、グレーターバンクーバーの多くの日本語学校で教員として働く機会がありました。その後日本語学校の校長も務め、高等教育機関としてはサイモンフレーザー大学でのティーチングアシスタントを経て、そして現職に至ります。
3.今取り組んでいらっしゃるプロジェクトについて教えてください
アクティブラーニングに興味があり、日本語学校にいるときは模擬国連を行ったり、現在の補習校ではディベートを積極的にクラス活動にとり入れたりしています。生徒たちが主体的にトピック選びから行い資料の準備をしますが、先日は「補習校の授業に理科を入れるべきか」というトピックでお互いの提案や根拠を提示して上手に論の展開、合意形成までできました。私の時代とは異なり積極的に自分を表現できる若者を大変頼もしく感じました。また、このような活動を通して生徒たちが場に応じた話し方が学べたり課題解決能力の向上が図れればと考えています。
4.お休みの日には何をしていらっしゃいますか
家でじっとしている時間をもったいなく感じてしまう性格なので、とにかく散歩したり走ったり、何らかのアウトドアの活動をしています。最近もノースショアに大学の同窓会メンバーとハイキングに行ってきました。定期的に友人とキャンプに行くのも楽しみです。バンクーバーは山と海に囲まれ、街に居ながらにして自然の美しさを楽しめるすてきな街です。いらっしゃる機会があれば車でなくぜひ自転車(シェアリングもあり)やご自分の脚で街歩きを楽しんでください。
5.日本語教員でなければ何をしていらっしゃると思いますか
細菌学者です。納豆菌からきのこについている菌、そしてあらゆるばい菌とよばれる菌まで、とにかく菌が好きです。もともと理系なのもあって脳科学の分野などにも興味があったんですが、最近は新型コロナウイルスなども経験しましたので、人間の体や世界をあやつる目に見えない細菌について興味がつきません。